歩き方が下手になってしまった現代人

足の重要な役割の一つは、体と大地をつなぐことです。
足は体の土台ですから、足もとが揺らぐような事態が発生すれば、その影響はたちまち全身に及びます。
歩くたびに足は体重のすべてを支えているのですから。


一歩一歩の足裏への衝撃は、体重の2倍以上になります。足は相当の重圧に耐えているのです。
現代人の足は足にかかる荷重に耐えるために、次第に硬化しはじめています。
この硬化が体のアンバランスに拍車をかけています。
さらにこのアンバランスは、足ばかりではなく、体全体の機能低下をもたらします。
それがまた、足の硬化をもたらすという悪循環を生んでいます。


硬く平らな舗道を歩くことに慣れてしまった現代人はちょっとしたでこぼこ道でも、歩きたがらなくなってきました。
足が硬直化して、歩き方が下手になってきたためです。
人間が住んでいた、かつての自然の大地の様相は、足首が沈むほどの草原、木の枝や葉で覆われた森、石ころや貝殻でいっぱいの砂浜、岩や穴だらけの山道など、実に多様性に富んでいました。
そこに住んでいた人たちは、変化する地表に適応するため、足の筋肉や骨が鍛えられ、柔軟性を保つことが出来たのです。
底に踵がついた硬い靴を履き、硬い平らな地面での生活に適応していくうちに、足の硬化は恒久的なものになってしまいました。
柔軟だった足は、楽な地表に合わせて固まり、足は扁平になり、硬いゴム底のようになってしまいました。
いまでも裸足で歩く人々の足は、私たちの足より柔軟性が高く、岩や砂利道を歩く時は、土踏まずの高さを自由に変えることができます。
悪路でも簡単に歩くことができるのですが、私たちにはもはやその能力はありません。
無理して歩けば、一歩で足裏は悲鳴を上げるはずです。
硬く平らな路面は、舗装された道は、必ずしも私たちに良い影響を与えてはいないことを自覚しなくてはなりません。