なぜ人間は2足歩行になったのか

私たち人類の祖先は、チンパンジーやゴリラと同じで、アフリカの熱帯雨林に生息した樹上生活型の哺乳類でした。
本来、地面を四つ足で歩行していた哺乳類が樹上生活に移行したことで、垂直方向への移動能力が要求されました。
その結果、後肢は他の哺乳類に比べて発達しました。
腹筋も背筋とともに、脊柱を垂直方向に維持する能力を得ました。

いまから約700万年前、ヒマラヤ山脈の隆起に伴い、現在のサハラ砂漠の乾燥化がはじまり、熱帯雨林が衰退しました。
やむなく人類の祖先は、地上での二足歩行をするようになったのです。
樹上生活で獲得した、発達した後肢の伸筋群と神武の腹筋群がそれを可能にしました。
猿人が誕生したのです。
彼らはその後、約500万年にわたって半樹上生活を続けました。
約400年前にアフリカ大陸では、大きな地殻変動が起こりました。
大地溝帯が形成され、その東西に隆起した山岳地帯によって、アフリカ大陸の東側にはさらなる乾燥気候がもたらされ、

約200万年前には現在と同様なサバンナが形成されました。
人類の祖先は、完全に地上生活に適応する必要に迫られ、同時に深刻な食糧難に見舞われることになります。
豊富な植物資源が失われてしまったからです。
そこで、草食から肉食への進化が起きたのです。
そして動物を捕食するために、素早く走り回ることができる足・脚の骨格を進化させます。
樹上生活の必要がなくなったために、足の骨格が現生人類のものと同じになりました。
さらにより速い速度で走るために、骨格が垂直方向に短くなり、脚が長くなったのです。
このことは同時に、重心をより高い位置に移動させ動的安定性を高め、直立二足歩行をより容易にしました。
こうして原人が誕生したのです。
直立二足歩行を獲得し、肉食に移行した人類は、しだいに自然界で優位にたっていきます。
解放された前肢は、樹上生活時代にすでに手としての機能は持っていましたが、さらに発達することになります。
とくに親指の筋・骨格系が発達し指先を器用に使うことができるようになり、脳が刺激されます。
直立姿勢と、肉食によって大きな脳を維持することが可能になっていたので、脳は急激に発達し、言語を獲得し

道具の発明と、火の制御能力を身につけ、やがて科学にたどり着くのです。